まず、以前の記事でも書きましたが、尻下がりすぎの尾灯周りがおかしいです。この部分の修正は、そう難しくはないと思います。
他に気になる点は…

いろんな角度からの写真で感じるのは、Aが間延びして見えることです。
そして、それが機体後部にも影響し、Bも縦に太すぎるようです。
また、Cの点線が示すように主翼の迎え角が大きすぎ、そのため機首側が絞られています。これはとても不自然です。
飛行機の機体は空力上なるべく細く設計すべきですが、空冷星型エンジンを使う場合はその直径に左右されるため、通常は機首が一番太くなります。
Cの問題は、主翼の取り付け角を調整し、カウリング下面のダクトを膨らませるなどして機首側にボリウムを持たせればよさそうに感じます。
それでも、AやBの間延び感は解消できません。
ここは、一番重要な7番隔壁の形状がダイレクトに影響するところで、もし7番隔壁に問題があると、すべての断面形状がおかしいことになり、修正はほぼ不可能になります。
特に日本機(変なの除く)では、機首から機体後部にかけての流れるような絞り込みがとても美しいので、コックピット周りが最も太く見えてしまうタルのようなフォルムは致命的です。
とある図面から、7番隔壁を縮尺1/16でコピーしてみました。

重ねてみます。

図面が正しいとは限りませんが、ほぼピタリと重なります。
もっとも、7番隔壁は、大英帝国戦争博物館の52型を取材すれば、そのものズバリの資料が簡単に手に入るので、恐らく正しいのだと思います。
ついでに4番隔壁も同様に比較してみます。

重ねると…

これも、翼の厚さが違いますが、大きな問題はありません。
この図面は有名な研究者のもので、多分ディアゴスティーニのキットも、これを参考にしていると思います。
しかし、主要隔壁が図面どおりなのに、でき上がりはおかしいとはどういうことか。
つまり図面がおかしいということ?
う~ん…
実際の零戦の写真から、側面形状を写し取ってみました。

真横から捉えた写真が少なく、あまり鮮明でない写真からフリーハンドでトレースしたのでラフですが、雰囲気は出ていると思います。
これをディアゴに重ねてみます。

それほど大きな狂いはないことがわかりますが、やはり機体後部は上下に太いみたいです。
これを直すとしたら、内部の骨組みを全部作り直さなければなりません。
マジか…
その他にわかるのは、キャノピーが前後に長すぎることです。
この修正は比較的容易なうえ、低く見えるキャノピーや短く見える機首のイメージアップにつながると思います。
以上、いろいろ考えてみましたが、修正した方が良い点は次のように集約されると思います。
①主翼取り付け角の変更
②機首下面のボリウムアップ
③尾灯まわりを水平に
④キャノピーの短縮
⑤機体後部の全面作り直し(本当にやるなら)
⑤はムリかな…もうちょっと考えます。
前回記事 (
零戦をつくる(4)エンジン塗装1)
次回記事 (
零戦をつくる(6)シリンダー組み付け)
続きをたたむ